東京生まれのファッション雑貨。台東区周辺の企業による、こだわりの靴・バッグ・財布・ベルト・帽子などを販売します。

日差しだけじゃなく熱からも頭を守る機能性

光や熱を跳ね返す遮熱素材をはさみ込むことで、夏の直射日光や暑さから頭を守る帽子です。

【インタビュー】カブシキガイシャ シゲマツ

遮熱シートを使用した特殊な帽子、コカゲルを作るのは50年の歴史を持つ株式会社シゲマツ。時代やニーズに合わせた帽子を作り続ける株式会社シゲマツの代表取締役社長の重松良克さんと、商品部の白井絵美さんに、現在に至るまでの会社の歴史とコカゲルの誕生経緯、そしてこれからについてお聞きしました。

時代に合わせた、転業というチャレンジ

ー株式会社シゲマツの歴史を教えてください。
重松さん:大阪の帽子問屋で10年程修行していた父が、1973年に独立して株式会社シゲマツを立ち上げました。当初はメーカーから仕入れた帽子を小売店に販売していましたが、1995年にメーカー業に転業して現在に至ります。

ーメーカー業への転業は大きな出来事だったかと思いますが、どういった経緯があったのでしょうか。
重松さん:高度経済成長期はメーカー側の力が強かったことが転業の理由でした。当時はメーカーが作ったものは大手の問屋に納められることが多く、私たちのような規模の問屋には商品が回ってこないことが多かったのです。商品がないなら自分達で作ろうと思い、メーカー業をスタートさせました。

もちろんそれまで帽子を作ったことがなかったので、一からのスタートで大変でした。しかし、幸いにも、1年目は日本が猛暑だったことで帽子の需要が急増。そこでなんとか売上を作ることができ、会社を続けていくことができました。
現在は日本だけではなく中国、ベトナム、ミャンマーに工場があり、日本生産だけではなく海外生産も行っています。

デザイン性だけではなく機能性にこだわる

ーコカゲル誕生の経緯についても教えていただけますか。
白井さん:コカゲルは熱中症で人々が搬送されているのが連日ニュースで報道されているのを見た代表が、「この問題をなんとかしたい!」と思ったことをきっかけに生まれました。
2020年の夏にプロジェクトが始動し、2021年にブランドが完成。少しでも早く熱中症対策となる帽子をみなさんにお届けしたいという思いで、急ピッチで動いていました。

ーコカゲルが持つ機能性について教えてください。
白井さん:コカゲルは熱中症対策となるよう、帽子の中に遮熱シートを挟んでいます。そして帽子の中が蒸れないよう、遮熱シートに穴を開けて通気性を確保しているのが特徴的で、この縫製技術で特許を取得しています。
遮熱シートは伸縮性がないため、帽子のように曲線がある製品への縫製が難しいとされています。そこで、通気性をしっかりと確保するため、何cm感覚で穴を開けるのがベストかを何度も検証して作りました。

ー製品開発においてこだわっている点や大事にされていることはありますか。

白井さん:デザイン性はもちろんですが、機能性にもこだわることです。特に直営店を出してからはお客様の声を聞くことができるようになったので、お客様の意見を反映した製品開発を大事にしています。

その結果、嬉しいことにコカゲルの機能性を評価していただくことが増えました。現在コカゲルの仕様を取り入れたコラボ商品の製作プロジェクトが、複数の企業様と進んでいます。また、毎日お子様と公園に行かれるお母様や屋外で作業されることが多い方などにもコカゲルを愛用いただいているのはとても嬉しいです。

お客様の声を聞き、その悩みと痛みを解決する

ーメーカー業への転業、直営店の開店など大きなチャレンジをすることで多くの困難を乗り越えられてきたように思いますが、現在課題に感じていることはあるのでしょうか。

重松さん:若い人材の確保が難しくなっていることです。28年前に中国工場を建てた際に20歳だったスタッフが気づいたらあと数年で定年退職というところまできています。ピーク時は600名いた中国工場も現在は230名程にまで減っているのが現状です。昨年のミャンマー工場設立はこの問題を受けての決断でした。

課題が見えてきたら少し先を見据えて動くこと。そうすることでここまで会社を成長させていくことができたと思っているので、引き続き頑張りたいです。

ーこれから注力していきたいことや目標などはありますか。

白井さん:直近はキャンプブームやアウトドアブームを受けて、家族全員で被っていただけるように大人用と子ども用のサイズを用意したラインアップや、ユニセックスなデザインの帽子の開発に注力しています。これからもお客様の声を元に、今どんな帽子が求められているかを考え、デザイン性と機能性を両立させた帽子を作っていきたいです。

重松さん:帽子は機能が多くないので差別化が難しく、限られた部分でしか工夫ができません。そのためお客様に選ばれる帽子を作るためには、お客様の悩みや痛みを解決できる商品作りが必須です。デジタルの時代ではありますが、アナログな部分を大事にしたいと考えております。直営店を持っていることを強みにお客様の生の声をもとにニーズの深堀を改めて行い、生活を快適にできるようなものづくりを行っていければと思っています。

また、他社にはない新しい技術や価値を提案する方法の分かりやすい方法の一つとして特許があると思っているので、特許開発にも注力していきたいです。

 

Profile株式会社 シゲマツカブシキガイシャ シゲマツ

1973年開業。
シゲマツは、現状に甘んじることなく、常に新しい可能性に挑戦し続けています。
総合帽子メーカーとして、日本はもとより世界中の人々に愛される商品づくりのため、新しい情報を吸収しつつ、最新の技術と徹底した生産管理システムのもと、大量生産から小ロットまで、あらゆるニーズに対応しております。