デザイン性と機能性を両立させた華やかな長財布
牛革にクロコの型押しを施した長財布は、一万円を折らずに収納できますが、一般的な長財布と比べてひとまわりコンパクト。女性の手でも持ち運びやすいサイズ感です。
革小物OEM生産のプロフェッショナルである野村製作所は、現在「CROCCO(クロコ)」と「のむのもの」という、2つのオリジナルブランドを展開しています。
国内最大規模のサンプル室を持ち、小物技術認定1級を持つ職人たちが在籍する野村製作所が作る革小物。シンプルさと使い勝手が売りの「CROCCO」と、ポップで可愛い革小物が揃う「のむのもの」について、職人である木村さんにお話を伺いました。
自社ブランドを始めて気づいた野村製作所の強み
ーまずは自社ブランドが生まれた経緯を教えてください。
大正12年に創業してからこれまで、私たちは様々なブランド様から依頼を受けて、OEMで財布やバッグを作ってきました。その技術を活用した新たな挑戦として、自社オリジナル製品の開発と販売がスタートしました。しかし当初は、消費者の反応を直接得るために販売しようと、ブランド名やロゴを持たないノーブランド製品として始めることに。
その後、野村製作所の技術力と企画力を「つづけるために、つないでいくために」、革小物製品を扱う自社ブランドとして「CROCCO」が誕生したのです。
さらにシンプルで使いやすいデザインが特徴の「CROCCO」とは異なり、ポップで可愛いデザインが特徴の革小物ブランドとして、「のむのもの」が2024年に生まれました。
ー野村製作所はOEMのプロフェッショナルということですが、自社ブランドを担当するようになってみていかがでしたか。
OEMの場合、お客様の要望に合わせて作った製品を納品するまでが仕事です。そのため、お客様の顔が見えづらいという課題がありました。一方で自社ブランドではデザイン決めに始まり、製品を作った後、売ることも自分たちの仕事になります。自社ブランドを担当するようになって初めて、売る難しさと大変さに気づきました。

同時に、自社ブランドをスタートさせたことで、私たちだからこその強みにも気づくことができたと思います。まず、私たちの場合は社内に職人がいるため、いただいた声をすぐに反映させ、新しいサンプルを作ることができます。



サンプル室が自社にあり、フットワークが軽いということは私たちにとって大きな強みです。
また、私たちは東京駅構内に実店舗を持っていました。それにより実際にお客様の声を聞きながら製品開発を進めることができる環境があったのです。私自身も店舗に定期的に立つことで、より使う立場であるお客様のことを考えながら開発が可能になりました。
ブランド問わず使い手を意識したデザインと設計
ー製品開発・ものづくりにおいて木村さんが大事にしていることがあれば教えてください。
OEMではお客様の要望を形にするのがゴールですが、自社ブランドでは野村製作所らしさや、野村製作所が得意としている技術や企画力を存分に活かして開発しています。

スタイルストアでお取り扱いするお財布は、実用品という立ち位置に近いので、デザイン性よりも使い勝手を意識してつくりました。例えば1万円札は折らずに入るけれど、小さい女性の手でも持ち運びやすいサイズ感を大事にしています。そのため一般的な長財布のサイズより一回り小さいのが特徴的です。また、カードも入れやすいように少しマチをつくり、出し入れがしやすい設計にしています。
こういった工夫もあってか、リピートして購入してくださる方も増えてきました。
リピートしてくださる方にも選ぶ楽しさも感じていただけるよう、表情が異なる革や異なる色の革でもご用意しています。直近では淡い色やくすんだ色の展開も進めるなど、流行りの色を柔軟に取り入れています。
ー新しいブランド、「のむのもの」の特徴やこだわりについても教えていただけますか。
「のむのもの」は「CROCCO」と異なり、おにぎりの形をしたポーチや富士山の形をしたコインケースなどポップでユニークなデザインの革小物が中心です。
コロナ禍で外出自粛により財布を使う機会が減ったこと、そしてキャッシュレス化が進み財布を新調する方が減ったことなどの影響から、「のむのもの」ではポーチやコインケースを主に作っています。お土産にご購入いただくことも多く、海外の方にも日本の方にもご好評いただいています。

「のむのもの」ではクスッと思わずなってしまう製品であることを重視していますが、もちろん使い勝手も大事にしています。
特にファスナーは丸みのあるカーブがあるデザインの場合、取り付けが難しいのですが、引っかかることなく開け閉めいただけるように工夫して張り込んで組み立てているので
ぜひ注目してみていただきたいです。
ユーザーと交流しながらブランドを育てていく

ー野村製作所は今年で101年目を迎えたとお伺いしました。最後に、今後の目標があれば教えていただけますか。
「CROCCO」も「のむのもの」も、リピートしたいと思うファンがいる、社員にもお客様にも愛されるブランドに育てていきたいと思っています。
OEMで培った技術力と企画力をつないでいき、積極的にお客様の声を聞いてお客さまと交流しながらお客様と一緒にブランドを育てていきたいです。

私個人としては、店舗でお客様が喜ぶ様子を見たことで、より特定のお客様のために作る一点物の革小物を作りたいという思いも出てきました。誰か一人のために作る特別な贈り物、特別なものづくりにも近いうちに挑戦したいと思っています。

Profile野村製作所ノムラセイサクジョ
野村製作所は東京・東上野にある創業100年を迎えた革小物専門メーカーです。
分業制が主流の革業界では珍しく、社内に職人を抱え、企画から生産までを一気通貫して行うことで、高品質なものづくりを実現しています。
さらなる100年に向けて、これからも新しいことに挑戦していきます。