本を読む人だからこそ価値を感じられるバッグ
「読むしかできない」をコンセプトに作られたブックショルダーは、必要最低限の機能を持たせた読書家の為の一品です。
本を読む人のために作られたのが、「読むしかできないブックショルダー」。そのなんとも斬新かつニッチなバッグを開発したのは、NIR IDENTITY & BOOK(ニア アイデンティティ アンド ブック)のAkaneさんです。生産効率や利益率を追求する大手メーカーには決してまねできないものづくりは、「狭く深く」の答えを形にしていると感じます。今回は、Akaneさんにニッチなものづくりを始められたきっかけと、今後の展望についてお話しいただきました
大の本好きだったからこそ生まれたニッチなバッグ
ーAkaneさんがものづくりに関わることになったきっかけや経緯を教えてください。
Akaneさん:大学時代から本を読むことが大好きで、出版や編集に携われたらと思っていたのですが、就活は厳しく、新卒ではIT企業に入社しました。大学時代の専攻はキャリアデザイン学部とITからは遠い学問を勉強していたのですが、実際に働いてみるとITの仕事は面白かったです。その後、金融業界のIT部門、IT業界のメディア会社といった形でITを軸に転職をしていきました。
Akaneさん:3社目が副業可能な会社だったことから、私も周りの人の影響を受けて、友人とオーガニックコットンのアンダーウェアブランドを立ち上げました。当時はまだまだオーガニックへの認知が低かった頃で、使い手にも作り手にも心地がいいものがもっと広まればという思いでスタート。初めてのものづくりで、同じようにものづくりを行う人たちと繋がりたいと思って台東区のデザイナーズビレッジに入居しました。そして約1年かけて試作などを行い、クラウドファンディングでブランドローンチしたんです。

ー読むしかできないブックショルダーはその後に生まれたのでしょうか。
Akaneさん:オーガニックコットンブランドは続けていたのですが、変わらず本好きだったことから、本に関連した何かができたらと思うようになりました。そんな中、本1冊と最低限のものだけで出かけたいと思ったことがきっかけで生まれたのがブックショルダーです。
Akaneさん:本がくれる豊かな時間には大きな価値があると思っていたので、本を読むしかできないバッグがほしいと思うように。誰か他の人が作ってくれていたら、自分では作らずに買っていたと思うのですが、求めているものがなかったため、デザイナーの仲間に協力してもらい、試作品を作りました。
本がくれる豊かな時間に価値を感じる人たちがたくさんいた

ーそしてオーガニックコットンブランドの時と同様に、再びクラウドファンディングで販売されたのですね。
Akaneさん:実際に作ってみたところ想像以上に便利でした。しかしかなりニッチなバッグだったので初めは販売する予定はなかったんです。しかし、このブックショルダーを使っていたところ、私もほしいと友人に言われたことがきっかけで販売を検討するようになりました。
Akaneさん:クラウドファンディングでの販売を選んだ理由は買ってくださる人を見つけてから生産が可能な点はもちろんですが、目的や思いに賛同してくれる人が集まってくるので、本好きの人がどれくらいいるのかを確認できる楽しみもあるなと思ったからです。
結果的には1ヶ月のクラウドファンディングで150人の方から賛同いただくことができました。
ー賛同いただいた方から届いた声などで印象的だったことなどはありますか。
Akaneさん:ショルダーバッグを持ってお出かけする時間を想像することに価値を感じて買ってくれた方が多かったのが印象的でした。また、「本を読む人だからこそ価値を感じられるバッグ」と評価してくださった方がいたのも嬉しかったですね。本を読まない人にとっては不要なバッグかもしれませんが、本を持ち歩くほどの本好きの方にこのバッグの魅力が伝わってよかったです。
ーニッチだったからこその反響の大きさだったのですね。
Akaneさん:様々な機能を持った、たくさんの人の要望を満たすバッグは大手メーカーさんによってたくさん販売されています。なので本好きな私だからこそできる、本好きの困りごとは解決できる設計を意識して、最終的には最低限の機能しか持たないバッグにしました。その代わりバッグにある機能は1つずつに意味を持っています。例えばリュックだと出し入れが大変なので、背負ったまますぐに読めるショルダーバッグにしました。自分がブランドのターゲットだからこそ、使ってくださる読書家の方と同じ目線でショルダーバッグが作れたと思っています。
本好きだからこそできることを
ー今後も本好きを対象にしたニッチなものづくりを続ける予定なのでしょうか。
Akaneさん:読書を取り巻く環境は変わっています。それと同時に本を読む人たちの困り事や楽しいと感じる部分も変わっていくでしょう。私自身が今後も本を読み続けていく中で不便だなと感じることや、あったらいいなと思うものがあれば、そしてそれを求めている人がいれば、今後もものづくりを続けていきたいなと思っています。
ー時代の変化に合わせて、その時々に共感してもらえるものを作っていくと。
Akaneさん:読書する人が減っているということに対して何かできたらという思いも最近は出てきました。読書はただ本を読む以外にも、本屋さんを巡ったり、ブックカフェに遊び行ったりなどといった楽しみ方があり、一生楽しむことのできる趣味だと思います。だからこそ、読書の魅力をもっと多くの人に伝えて、読書する人たちを増やしていきたいです。
今後できたらいいなと思っていることの1つは選書のサービス。本を誰かに選んでもらったから、あるいは本を誰かにおすすめされたから、という理由で読む人がたくさんいると思うので、そんな読書をするきっかけになるサービスができたらいいなと思っています。

Akaneさんのインタビューの際に訪れたアトリエには、文庫本がぎっしりと並んでいました。週に3冊は本を読んでいるのだと言います。インタビューでは、「ブックショルダーを持つ人の行動をデザインしたい。これがあるから、本を読みに出かけようと思うようなものづくりをしたい」のだとお話しされていました。
読書習慣のある人たちに向けて、今後もその習慣に合ったラインナップを展開していくというAkaneさんが提案するのは、様々な情報が簡単に手に入る今の時代に、あえて「ゆっくりと静かに過ごす時間」なのかもしれません。

ProfileNIR IDENTITY & BOOKニア アイデンティティ アンド ブック
本好きのメンバーで構成されたチームが手がける、「ちょっと贅沢な読書時間」をお届けする読書家のためのブランド。「読むしかできない」をコンセプトにユニークなブックアイテムを展開している。