沖縄出身のデザイナーだからこそ作る事ができるモチーフたち
moe matsudaのアイテムは、沖縄の大自然と、ゆっくりと流れる時間の中で育ったデザイナーの手によって生まれます。格好良さの中にどこか優しさがにじむようなジュエリーです。
パッと見るとシンプルなデザインが特徴のアクセサリーですが、それらのモチーフになっているのは、有刺鉄線やモンステラ、地層、波、虫など。
moe matsudaのアクセサリーは沖縄に住む人たちが見ている日常からアイディアを経て生まれました。大学卒業後、アクセサリーブランドの立ち上げを選んだ松田さんが、アクセサリーに込めた思いについてお伺いしました。
金属という素材に惹かれてものづくりの道へ
ーまずは松田さんの経歴やアクセサリーブランドを始められた経緯について教えてください。
沖縄で生まれ育ち、沖縄県立芸術大学のデザイン科を卒業してから独学でアクセサリー作りをスタート。その後沖縄の工芸を支援するセンターで彫金の技術を本格的に学び、2020年にアクセサリーブランドmoe matsuda(モエマツダ)を始めました。
ーデザイン科であればグラフィックデザイナーとして就職するといった選択肢もあった中、なぜものづくりの道を選ばれたのでしょうか。
父がやちむんという沖縄陶芸の職人として働いていて、幼いころからその様子を見ていました。父のように、手を動かして何かを作るという、ものづくりの仕事に漠然と憧れがあったのだと思います。
そして、その中でも金属という素材に魅力を感じ、アクセサリーづくりを選んだんです。
沖縄出身の私だからこそ作る事ができるモチーフ
ーmoe matsudaのアクセサリーデザインはどんなアイディアが生まれているのですか。
デザインは全て、私の身の回りの現象や物事がモチーフになっています。特に沖縄での暮らしから着想を得ているものが多いです。例えば、ねじりのデザインが入ったアクセサリーは、沖縄の米軍基地を囲う有刺鉄線とその鉄線にからみついている植物がモチーフです。

その他にも、沖縄の波と地層をモチーフにして作ったシリーズもあります。沖縄の北部には山があるエリアがあり、その山の上から海を見下ろすと、寄せては返す海の果てしなさを感じます。また北部の海岸沿いをドライブしていると、地層の塊をところどころに見ることができます。繰り返される波、少しずつ積層していく地層。この意外な2つを組み合わせてみました。
ー現在は東京を拠点に活動されているとのことですが、変わらず、沖縄は松田さんにとってインスピレーションの源なのですね。
東京に来てから、沖縄で生まれ育った環境が、実は他にはないものだと気づきました。
それ以来、観光地として知られている沖縄ではなく、そこに住んでいる人間だからこそ知っている美しい部分を、モチーフにしようと意識するようになったと思います。
また沖縄発のブランドであることを大事にしたいという思いから、職人である父に意見をもらうこともあります。ついこの間は、沖縄の方言について父に教えてもらいました。
おへそは沖縄の方言で「てんぶす」と言います。でも私の世代ではもうあまり使うことのない方言なんです。父に言葉の背景を聞いて、そこからおへそをモチーフにしたアクセサリー作りを始めたりしました。
アクセサリーを通して誰かに「自信」を届けたい

ーmoe matsudaのアクセサリーはどんな方に届けたいですか。
沖縄に帰省すると、東京と時間の流れが全く違うことにいつも驚きます。あの土地の、のんびりとした時間軸の中でこそ、ゆっくり考えて形にしていくという私らしいアクセサリーの作り方ができていたのだと実感するんです。

沖縄から東京に出てきた時、アイデンティティが揺れたり、自分に自信がなくなったりする時がありました。地方出身の方には、私と同じように東京に出てきた際、圧倒されて、不安になったことのある方もいらっしゃると思います。
そんな時に、私のアクセサリーがおしゃれのためのアイテムだけではなく、誰かのお守りとして身につけてもらえたら嬉しいです。自分が生まれた場所を誇りに思うアイテムとして身につけてもらえたらと思います。
ー最後に、今後の目標があれば教えてください。
まだまだmoe matsudaは始まったところです。これから全国でいろんなお店やポップアップで取り扱っていただけるよう頑張っていきたいです。
気軽に手に取ってもらえるよう、手の届きやすい価格帯もご用意しているのでぜひmoe matsudaのアクセサリーを楽しんでいただければと思います。

Profilemoe matsudaモエマツダ
沖縄出身デザイナーmoe matsuda による、「島の時間を思い出す」をコンセプトにしたジュエリー・オブジェクツ。沖縄のリゾートのような華やかな部分ではなく、そこに暮らす日々の暮らしと自然に目を向ける。なんにもない時間が穏やかな風に解かれていく。確かにある営みと景色。揺れるアイデンティティの狭間で強く立っていられるように、お守りのようにあるもの。