東京生まれのファッション雑貨。台東区周辺の企業による、こだわりの靴・バッグ・財布・ベルト・帽子などを販売します。

ダイヤモンドダストのような輝きを放つアクセサリー

「大人の肌をきれいに見せる、華やかとシンプルの良いバランス」
余計なものが削ぎ落とされたシンプルなデザインながら、凛とした存在感で華やかに見せてくれるアクセサリーは、STYLE STOREのためのオリジナルデザインです。台東区の職人さんが一つひとつ丁寧に施す「ダイヤモンドダスト加工」で、光が当たるたびに繊細な光を放ちます。

【インタビュー】hatsuyume

2015年にスタートしたアクセサリーブランド「hatsuyume(ハツユメ)」。学生時代、現代美術を学んでいたデザイナーのsayoifukuさんがアクセサリーの制作を志したきっかけは、
意外にも仏教装飾なんだそう。

今回は、sayoifukuさんに学生時代からこれまでのご経歴と、アクセサリーのデザインや制作に対するこだわりをうかがいました。

現代美術からアクセサリーの世界へ

―学生時代は現代美術を学んでいたそうですね。そこからアクセサリー制作に方向転換したのには何かきっかけがあったのでしょうか。

sayoifukuさん:東京藝術大学の先端芸術表現科に在籍していました。現代美術作家を養成する学科で、長らく油絵や写真や立体など、彫金やアクセサリーとは関係のない表現をしていたんです。
アクセサリーデザインの道に進んだきっかけは、東京国立博物館の法隆寺宝物館で見た国宝「法隆寺金銅灌頂幡」。荘厳具(しょうごんぐ)と呼ばれる、仏像や仏堂の装飾品です。
(「法隆寺金銅灌頂幡」は写真の本の表紙左側)

この出会いで「金属で何かを作ってみたい」と強く思ったんです。そこで大学を一年休学して、職人さんに教えていただいたりして、金属の勉強をしました。

―運命的な出会いだったんですね。そこで荘厳具の職人になるのではなく、アクセサリーのほうに目を向けたのはどうしてでしょうか。

sayoifukuさん:荘厳具を作る「錺(かざり)職人」は、装身具も作るんです。金属の勉強をしているうちに、アクセサリーの制作も副次的にできるようになりました。それがすごく楽しくて。最初は趣味でアクセサリーを作ってネットショップで販売をしていたんです。

sayoifukuさん:大学を出てから新卒でジュエリーの会社に入社しましたが、やはり自分でブランドをやってみたいという思いは消えませんでした。そこで、本格的にハンドメイドでブランドをやっていこうと決めたんです。ただ、そうは決めたものの、何をどうしたらいいのか全く分かりませんでした。そんな時ちょうどハンドメイド作家さんのアシスタントの求人を見つけて。作家さんのもとで、催事の出店方法とか、請求書の書き方なんてことも含めてビジネスの流れを学びました。そして、2015年に「hatsuyume」をスタートさせました。

アクセサリーは、身につける人の“お守り”

―デザインで一貫したテーマはありますか?

sayoifukuさん:学生時代にアクセサリーではない表現をしていた時からずっと、「祝福する」というテーマに関心がありました。人の祈りを感じられるようなもの、というか。アクセサリーって着ける人にとってお守りみたいな存在だったりしますよね。hatsuyumeでは、「身につける人の心を支える」ということを目標に制作しています。

「hatsuyume」という名前から、かわいいデザインを期待してくださる方も多いんですが、よく見るとかわいくない…というか、甘くないデザインなんです。いわゆる「モテ」のため、他人のために身につけるというよりは、自分のために身につけるデザインかもしれません。

―先ほど見せていただいた荘厳具はかなりデコラティブなデザインですが、hatsuyumeのジュエリーは、シンプルで幾何学的なものが多いですよね。

sayoifukuさん:スタートが荘厳具だからといって、和柄のデザインの方向には行きたくないなと思っていて。仏教装飾の哲学的な要素を残しながら、できるだけシンプルなデザインにすることを心がけています。

sayoifukuさん:インスピレーションを受けるのは、民族的なお祭りや祈りの場の衣装であることも多いです。こういったものからデザインを考えています。先ほどの「祝福する」というテーマにも通じるところがありますね。

―hatsuyumeのアクセサリーはどのように制作していますか?

sayoifukuさん:最近ではCADでデザインした後、まず自分の手で金属やワックスを削ったり溶接したりしてサンプル品を作っています。それを元に鋳造や石留め、メッキ加工などを職人さんにお願いしています。アトリエのある台東デザイナーズビレッジの近くを歩きながら、飛び込みで職人さんに「こんな加工できませんか」と相談することもあります。職人さんからアドバイスをいただいたり、時にはケンカもしながら(笑)作っていきます。

sayoifukuさん:今回販売するアイテムに施したダイヤモンドダスト加工も、アトリエの近くに工房のある職人さんに依頼しています。先端にダイヤモンドを取り付けた道具で打ち付けて、表面がキラキラ輝くように加工するんです。

「hatsuyumeならでは」の表現を

―今後、また現代美術の制作をすることはありそうですか?

sayoifukuさん:うーん、どうでしょうか…。アクセサリーを作り始めて、自分にはこのサイズ感がちょうどいいのかな、と感じているんです。現代美術をやっていたときは、空間全体で作品を表現する、インスタレーションという表現をやっていたんです。それと比べると、今は手のひらに収まる大きさです。自分が作ったものがお客さんに届くというのも面白いです。直にお客さんとコミュニケーションを取りながら販売するのも楽しいですね。

いまでも現代美術での表現が活きている部分もあって。百貨店の催事やポップアップショップで売り場を作るときに、通常ディスプレイで使わないようなオブジェなどを組み合わせて、ブランドの世界観を感じていただけるように展示しています。

―hatsuyumeとして、これからチャレンジしたいことはありますか?

sayoifukuさん:職人さんと一緒に制作できたらいいなと考えています。例えば研磨職人さんに協力してもらい、hatsuyumeオリジナルカットの宝石を作ってもらう、というようなこともしてみたいです。それから、今はシンプルなデザインが多いですが、より荘厳具の要素を感じられるデザインにもチャレンジしてみたいですね。

他の人にはマネできない、「hatsuyumeならでは」という独自のカラーをもっと出していきたいとsayoifukuさんはいいます。

sayoifukuさん:世の中が不安定で、心がざわざわしてしまうことも多くなっているかと思うんですが、そんな時だからこそ、身につけてくれた人が前向きになれるようなものを制作できたらいいなと思っています。

荘厳具との運命的な出会いから、アクセサリーデザインの道へ大きく舵を切ったsayoifukuさん。柔らかな語り口ながらも、ご自身の表現への強い想いを感じました。一つの作品が彼女の背中を押したように、彼女が作るアクセサリーもまた、着ける人をそっと支えてくれる力を秘めています。新しい一歩を踏み出す時に、毎日を乗り切るために、お守りにしたいアクセサリーです。

 

Profilehatsuyumeハツユメ

hatsuyumeは、sayoifukuによるジュエリー&アクセサリーブランドです。
シルバーやゴールドを主な素材とし、天然石などと組み合わせた装身具を制作しています。
身につける人の心を支えるジュエリーを提案します。

2015年スタート。
2019年より台東区の創業支援施設「台東デザイナーズビレッジ」にアトリエを構えています。

「初夢」という単語には、1年の初めに見る夢という意味がありますが、
真夜中の暗い中で明るい将来を夢見る、という様子から、
"はじめに抱いた目標を忘れずにいるためのお守り"というメッセージを込めてブランド名としています。


●ウェブサイト:
http://hatsuyume.info

●インスタグラム:
https://www.instagram.com/sayoifuku/

●sayoifukuについて:
ものを作ることが好きです。
夜道のむこうに見えるあたたかな光のような、美しいものを作りたいです。
誰かの生を祝福するためのかたちに興味があります。

ご連絡先
order@hatsuyume.info