東京生まれのファッション雑貨。台東区周辺の企業による、こだわりの靴・バッグ・財布・ベルト・帽子などを販売します。

体型を問わない革ベルト

ついで買いのアイテムとして、洋服プラスアルファで手にとりやすい価格帯と、質にこだわったこちらは、ベルト穴が無く、幅広い体型の方でもお使いいただけます。ボトムスがずり落ちない為に巻くのではなく、ウエストマークなど、普段の服をアレンジする際にもお使いいただける一品です。

【インタビュー】FULLGRAIN

株式会社フルグレインは、ベルトを中心にものづくりを行っているメーカーです。他社のOEMをメインにしているベルトメーカーが多いなかで、自社ブランドとOEMの両軸でやっている珍しい会社でもあります。今回は、代表の樋口さんに会社を立ち上げたきっかけや、製品への想いについて話を伺いました。

アパレル営業マンからベルトメーカーの立ち上げへ

ーまずはブランド立ち上げの経緯を聞かせていただけますか?

樋口さん:今から約15年前、2006年に会社を立ち上げました。それまでは裏地などの服飾資材を販売する商社の営業マンでした。

営業マン時代に少しだけベルトに携わっていたものの、ベルトについてはほとんど何も知らない状態。起業してから徐々に覚えていき、現在に至ります。

ー服飾資材ってたくさんありますよね。その中でもベルトの会社を立ち上げた理由ってなんでしょうか?

樋口さん:たまたま一社、セレクトショップからレザーベルトの依頼が多かったんです。独立する時に、今慣れてる仕事がいいなと思って始めました。

それにベルトはスペースもとらない。コンパクトにまとまりますから。利便性も考えてベルトで会社を立ち上げようと思ったんです。

ーゼロからの立ち上げは大変なところもあったのでは?

樋口さん:自分の信用がないことですね。それまで大手の服飾資材商社にいたものですから、みんなが「買って買って」と寄ってきた。でも辞めた瞬間、誰も寄ってこない。材料の支払いも即現金でなければ売ってくれない。そういった部分はある程度予想はしていましたが、立場が違うなと感じました。

当時は斜陽産業でマーケットが縮小していった時代。物が売れないなかでの立ち上げなので、軌道に乗せるのは時間がかかりましたと樋口さん。会社が軌道に乗るまでに5年ほどかかったといいます。

ー今回スタイルストアで販売するベルトは、どんな体型の人でも巻けて、ベルトの余った部分もカッコよく処理できるデザインがポイントになっています。ベルトのちょっとしたこだわりや、他社との違いはありますか?

樋口さん:靴やバッグと違って、ベルトはトレンドがはっきりしていない部分があります。それに、ベルトだけを目的に買いに来るお客さんってあまりいないですよね。

なので、”ついで買いのアイテム”として洋服とプラスアルファで手にとりやすい価格帯、3,900〜5,900円ぐらいのものを提案しています。
でも、だからといって商品に妥協することはしません。革の細かい質や染め方、仕上げ方、金具の質感などひとつひとつにこだわっています。

また、ベルトはコーディネートで見せる商品なので、ベルトが主張しすぎず、洋服に馴染むものであって欲しいなと思います。主張しすぎないさりげない可愛さや質の良さ、そういったものを表現できるようなものづくりが創業以来のテーマですね。

優先しているのは、「買いやすさ」と「コスパの良さ」

ーものづくりの優先度としては、まずは買いやすいプライスを意識していますか?

樋口さん:そうですね。買いやすい値段で、手にとったお客さんが感じた値段よりは少し安い設定に。例えば6,900円だと思っていた商品が5,900円だったらそれはお客さんにとって安く感じるわけで。そういったものづくりを心がけています。

たまに百貨店の催事でも販売しますが、お客様は「安いわね」と言ってくださるので僕らの気持ちは伝わっているのだと思います。

ー催事でのお客様の声をものづくりに反映されているそうですね。

樋口さん:はい、今回スタイルストアで販売する3型も催事で一番売れるベルトです。「あまりこういったものがない」とネットでも売れています。「百貨店に行っても質の良いナチュラルなベルトが無いから探してたんです」というお客様の声もよく聞きます。

ベルトは決してトレンドにはならないですが、無くならないアイテム。なのでベルトを作り続けていくのは大事だなと思ってやっています。

ーOEMと自社ブランドの比率はいかがですか?

樋口さん:OEMの比率は7割を越えていますね。比率的にはOEMに頼っていますが、自社ブランドでは、自分たちの作りたいものを作って、こつこつ売っていきたいです。OEMだけのメーカーにはなりたくないですから。

ー自分たちの作りたいもの、こだわりを追求されていますね。

樋口さん:それがまたOEMに繋がりますから。OEMのお客さんも、僕の感性が合うから仕事を依頼してくれるので。うちが安いからという理由だけで依頼するお客さんはほとんどいないです。

「フルグレインの作りが好きだから」「感覚が好きだから」「私たちの意図を汲んでくれるのでお願いします」っていう僕らのものづくりに共感していただけているお客さんが多いです。

それは、これまでものづくりをきちっとしてきたから。多少は信用を得られているんだと思います。

ーOEMと自社ブランドの両軸でやっている会社はなかなか無いですよね。やはり難しさがあるのでしょうか。

樋口さん:一番多いのは、今までOEMしかやっていなくて、どうやって自社ブランドを売り出したらいいか分からないメーカーさんですね。

僕はもともとベースがアパレルで、企画こそやってませんけどアパレルの営業マンを何十年もやっていましたから。

そのなかでものづくりを考えるのは当たり前のことなので、逆に何故下請けだけでやっていくの?って。問屋さんだけの相手という感覚が僕らには合わなかった。立ち位置が違うんです。

老舗のメーカーさんは基盤がある。大手の問屋があって、そこから仕事が流れてきて、それをやっていれば食べれた時代が長かったんです。それが崩壊してきているからみんな苦しいわけであって。

僕は後から立ち上げたのでそういったプレッシャーは全くないわけです。

「フルグレインならでは」の感性を生かした製品づくり

ーこれからブランドを続けていくにあたってチャレンジしたいことはありますか?

樋口さん:1年くらい前からリサイクルコットンを使った”真田織”の雑貨シリーズを開発しています。きっかけは仲の良いお客さんが真田織を使った雑貨を僕に依頼してきたこと。その素材がすごく良くて、ベルトから入って今はアパレル雑貨を展開しています。今後は犬グッズやインテリアなどの非アパレル部門も提案していきたいですね。

もちろんファッションの仕事がベースですけど、プラスアルファとして非アパレル部門でも僕の感性やノウハウをそのまま違うアイテムに活かしていきたい。ベルトからさらに進化して、ライフスタイルに沿ったアイテム展開というのも広げていければと思います。

ベルトというアイテムのみならず、日々移り変わっていく世の中のニーズに合わせて、様々なものづくりを行っていくという樋口さん。お得感のある価格と、ものづくりへのこだわりが根底にあるので、常に「こういう商品が欲しかった!」と感じる、いわゆる痒いところに手が届くアイテムを提案し続けるのだろうなと思います。

 

ProfileFULLGRAINフルグレイン

FULLGRAINとは、牛革のもっとも上質で耐久性に優れた部分をさす皮革用語です。FULLGRAINで使用する皮革は、ブランドの趣旨に沿い厳選された皮革を使っています。