東京生まれのファッション雑貨。台東区周辺の企業による、こだわりの靴・バッグ・財布・ベルト・帽子などを販売します。

機能性とデザイン性の両立を追求した財布たち

FERMI+のお財布たちは、設計からすべて自分たちで行うという完全なるオリジナル。このお財布に似ているものがないという唯一無二のお財布は、使いやすさと見栄えの両方を備えた一品です。

【インタビュー】フェルミプリュス

FERMI+(フェルミプリュス)は5年前、コロナ禍に生まれた革小物ブランドです。ポケットに入る薄い長財布や、紛失防止用に販売されているAirTagに合わせて設計されたポップな色のミニ財布などのアイテムを展開しています。そんなFERMI+のデザイナーである安部さん、営業の杉原さんにブランドの立ち上げ経緯やものづくりにおけるこだわり、今後の展開についてお話しいただきました。

ゼロから手がける設計と高品質な革

ーまずはブランドの立ち上げ経緯について教えてください。

安部:FERMI+は2020年12月、コロナが大流行していた頃に生まれた革小物ブランドです。それまではアパレルのデザイナーとして、コムデギャルソンなどのコレクションブランドとお仕事をさせていただいていました。しかしコロナをきっかけに先行きが不透明になり、それなら自分でブランドを立ち上げてみようと思ったのです。

杉原:安部さんは大学卒業後、私は社会人として少し働いた後、同じ服飾学校に通っており、学校のクラスメイトでした。ブランドが少し軌道に乗ってきたタイミングで、安部さんに誘っていただき、私は営業として参画することになりました。

ーFERMI+はどんな特徴を持ったブランドなのでしょうか。

安部:FERMI+はこだわりの仕様と素材の良さを両立させていることが特徴的なブランドです。デザインや設計は外部のOEMや工場に委託するのではなく、すべて自分たちの手でゼロから手がけています。使いやすさを徹底的に追求し、サイズ感や厚みなどのディテールを限界まで削ぎ落としているのがポイントです。

また、素材にはハイブランドでも使用される上質な革を採用。仕立て面でも一般的なハンドメイド品とは一線を画すクオリティを実現しています。

ーお客様からの反応はいかがですか。

杉原:「この設計で、この革で、この価格はすごい」と言っていただくことが多いです。特に革の特性や質を理解している方ほど、その価値を感じていただいているように感じます。
また、セレクトショップのバイヤーさんなど、お財布について知り尽くしている方からも「ここまでの完成度のものは見たことがない」と評価していただきとても嬉しいです。

ガジェット好きから生まれるアイディアも

ー安部さんはアパレルブランドのデザイナー出身とのことですが、革小物ブランドを始めてみていかがでしたか。

安部:ファッションとしての革小物を作りたいと始めたFERMI+でしたが、アパレル業界で鍛えられた「他にはないものをつくる」という意識はプロダクト作りの土台になっていると思います。

洋服と革小物では設計の考え方は全く異なるため、当初は工場の方々に相談しながら、少しずつ学んでいきました。色やデザインの感覚はアパレル時代と変わらず、どんな人がどんな服装の時に持つかを意識しながら設計しています。ミニ財布はAirTagなどのガジェット要素がある分、ポップで華やかな色を採用するなど使うシーンやスタイルに合わせた提案を心がけています。

杉原:実際に現場に立つと、ファッションとのリンクも感じます。例えば、遊び心のある装いの方はポップな色のミニ財布を選ばれたり、シックなロングコートを着ている方は長財布を選ばれたりすることが多いです。革小物を選ぶ際にも、その人のスタイルが現れているのはとても興味深いです。

ー商品のアイディアはどこから着想を得られているのでしょうか。

安部:アイディアの源泉は日常の「ないな〜」という気づきです。ガジェット好きな性格が機能性とデザイン性の両立につながっているのだと思います。男性視点で女性向けの使い勝手を考えることで機能性とデザイン性を両立させた財布を生み出すことができました。

また、実際に自分で使ってみて出てきたフィードバックを次のプロダクトに必ず反映させるようにしています。洋服とは異なり、何年も毎日使うものである革小物だからこそ、細かい部分により注意してデザインしています。日々の中で見えてくる細かな使い勝手や経年での変化を必ず確認して、耐久性をあげたり、入れられるカードの枚数を増やしたりと、常にアップデートを続けています。

革小物ブランドからマルチブランドへ

ーブランド立ち上げからまもなく5年とのことですが、振り返ってみていかがですか。

安部:アパレルではシーズンごとにトレンドが移り変わり、同じ商品をリピートしていただくことはほとんどありませんでした。一方で革小物は長く使っていただくことが前提。実際に何点も愛用していただいているお客様から使い勝手がいいと評価いただき、再度同じ財布を買っていただけることがとても嬉しいです。

FERMI+の長財布は、ポケットに入れたときに「財布かスマホか分からない」と感じるほどスリム。その軽やかさが日常の中で違いを実感していただけるポイントです。そうした日常の中で違いを実感していただけるのが私たちの革小物の特徴だと思います。なかなか自分にあった財布が見つからないという方にはぜひ一度手に取ってみていただきたいです。

ー最後に、今後の展望を教えてください。

安部:今後はジュエリーやバッグなどのラインナップを増やしていきたいと考えています。レザーを中心にバッグや小物を展開しながら、より幅広くライフスタイルを提案できるマルチブランドに進化していく予定です。

杉原:ジュエリーについては、展示会での反応が非常によかったこともあり、年内に別ブランドとしてのローンチを目指して準備を進めているところです。3Dプリンターを使用した、最新技術を活かしたジュエリーづくりに挑戦しているブランドはまだまだ少なく、そこも全面に打ち出せていければと考えています。ぜひ楽しみにしていてください。

 

ProfileFERMI+フェルミプリュス

慶應義塾大経済学部卒、文化服装学院修了。ハイブランドのパリコレ縫製を経て独立。FERMI+を設立し、企画から設計まで一貫して手がける。アノネイ社・アルラン社などの上質レザーを用い、1mm単位で構造を再設計。CADや3Dモデリングなどの技術を駆使し、革の造形と機能を再構築するミニマルなレザーグッズを制作している。