シュトラール加工による特別な煌めき
表面にブランド特有のシュトラール加工を施したアクセサリーは、光を反射して、キラキラと輝くのが特徴です。
ジュエリー職人だった山口さんが、コロナ禍に台東区のサポートを受けてリリースしたのが、アクセサリーブランドcotori.(コトリ)。職人として長くジュエリー界に携わっていたものの、デザインから製作までを手掛けるというのは、はじめての事。山口さんにとっては大きな挑戦だったといいます。そこで、こちらのインタビューでは、ブランドの立ち上げについてと、cotori.の今後についてお伺いしました。
素材が輝くcotori.ならではのシュトラール加工
ーcotori.のアクセサリーブランドの特徴やこだわっている点を教えてください。
山口さん:最大の特徴はシュトラール加工という独自の加工法で作っている点です。表面加工には様々な手法があるのですが、より素材が輝くように特徴を持たせられないかと研究を続ける中でシュトラール加工は生まれました。
ー具体的にシュトラール加工とはどんな加工なのでしょうか。
山口さん:輝きの度合いが他の加工に比べて強く、光を照らした際に角度によって模様のように煌めきます。10年以上、アクセサリーの加工を行う中で学び研鑽して生まれたcotori.ならではの星屑のような加工なのです。

ー独自の加工法でこだわって作ったアクセサリーですが決して手の届かない額ではないのもcotori.の特徴かと思います。
山口さん:素材によって値段は変動しますが、シルバーのもので2万円前後からご用意しています。最近人気なのは11万円するイエローゴールドのコイン型のタイプ。その他にも天然石を使用したシリーズもあり、誕生石を入れたアクセサリーなども対応しています。
どのデザインも、たくさんの方の声を聞きながら厚みや幅や長さなどを調整し、こだわって作ったハンドメイドアクセサリーです。
コロナをきっかけに始めた新たな挑戦
ーcotori.立ち上げに至るまでのお話も教えていただけますか。
山口さん:専門学校を卒業後、受託加工を専門とする会社に就職しました。メーカーさんの依頼を受けて、デザイナーさんと一緒に結婚指輪などの製造に携わっていたのですが、34歳の時に、とある方の後押しを受けて独立。独立後も変わらず、メーカーの下請けという形で加工の仕事をしていました。
山口さん:ブランドの立ち上げを決意したきっかけはコロナです。コロナの影響で仕事が減ってしまったことを行政に相談したところ、台東区の方から自分のアクセサリーブランドを立ち上げてみたらどうかというアドバイスをいただきました。これまで加工専門でやってきたので、製品デザインやホームページ制作、広報・PRなどといった仕事は未知の世界だったのですが、台東区には様々な支援制度があるということで挑戦してみることに決めたのです。
ーそんな経緯でcotori.は生まれたブランドだったのですね。実際にブランドを立ち上げてみていかがでしたか。
山口さん:台東区の支援があったからこそスタートできたと思います。2021年1月にブランドをリリースしたのですが、コロナ禍ということもあり半年以上はほとんど活動を行うことができませんでした。やっと展示会への出展が決まった時も、未経験だった広報活動に着手するべく、手取り足取り教えていただきましたね。

ー初めてのブランド立ち上げで特に難しかったことなどはあったのでしょうか。
山口さん:これまでは依頼を受けた内容を忠実に形にするのが仕事だったので、いわゆる「裏方」に当たる部分しかやってきたことがありませんでした。それが、店頭販売や広報活動などといった表に出る仕事なども全て自分でやらなければならなかったのは大きな挑戦だったと思います。ゼロから全てやることで初めての経験が多く、自分の力不足を感じる場面も多くありました。
山口さん:また、バイヤーさんやユーザーさんと直接話す立場になったことで、自分がいいと思ったものが必ずしも売れる訳ではないという学びもありました。当たり前のことかもしれませんが、それを理解をするのには時間がかかりましたね。おかげで製品に対する取り組み方や視点は大きく変わったと思います。
学ぶ姿勢と謙虚さを忘れずに
ー今後の展望についてもお聞かせください。
山口さん:現在のラインアップは可愛らしいデザインのものが多いので、シンプルなデザインのものや大人っぽいデザインのものを今後は増やしていきたいと思います。より地金の魅力を引き出せるアクセサリーを作っていくことが目標です。
また、新たな挑戦としてオンラインでの海外販売の取り組みをスタートさせました。これまでは国内での販売を中心にしてきましたが、今後は海外販売にも力を入れていけたらと考えています。
ーいずれも、より多くの方にcotori.を知っていただく取り組みとなりそうですね。
山口さん:男性職人が一人でやっているブランドということで、女性につけていただくにあたってはファッションとの兼ね合いなど、理解できていない部分も多々あると思っています。だからこそ、学ぶ姿勢のスタンスを忘れず、独りよがりにならないデザインのアクセサリーを作っていくことを引き続き大事にしたいです。
山口さん:ここまで来れたのも台東区のサポートはもちろんのこと、たくさんの方々からフィードバックをいただいたからこそです。謙虚さを忘れずに、たくさんの方に手に取ってもらえる製品を研究していきます。
「ジュエリー職人として長らく活動した後、自らブランドを立ち上げ、デザインから携わるようになった」という山口さん。デザインしたものを形にするところまで一人で行う事が出来るというのは、職人経験がある山口さんならでは。cotori.の大きな強みだと思います。これまで数えきれないジュエリーを手掛けてきたという経験があるからこそ、他には無い一品を生み出せているのかもしれません。これから生まれてくる山口さんのジュエリーも楽しみだと感じる、そんなインタビューでした。

Profilecotori.コトリ
2012年cotori.創業、ブランドの製造加工、注文製作などを担当。2019年より作家活動を開始。
独自技術シュトラール加工を生み出し、オリジナルジュエリーを発表。身に付ける人の五感に響くデザインを提供中。