東京生まれのファッション雑貨。台東区周辺の企業による、こだわりの靴・バッグ・財布・ベルト・帽子などを販売します。

ワンアクションで全てに手が届く!薄さと収納力を備えた財布

小さめの財布は収納力や中身を取り出す時の手間の多さといった不満がつきもの。こちらは、そうした不満を小さなものまで取りこぼさず、一つ一つクリアにしながら開発された薄型二つ折り財布です。当店用に作ってもらったのは、この機能的な型はそのままに、松阪牛の艶やかな革を用いた、黒いお財布3種類です。

【インタビュー】株式会社バンビ

当店でお取り扱いをするバンビの松阪レザーは、見た目の美しさと、考え尽くされた機能性の両方が備わった贅沢なもの。手掛けるのは、昭和5年創業の株式会社バンビです。実は長きにわたりものづくりを続けるこの会社が革小物を作り始めたのは、ここ数年の事。創業当時から現在に至るまでの歴史と、ものづくりへのこだわりを、代表の舘林さんに伺いました。

─松阪レザーが誕生するまでの経緯をお聞きしたいです。会社の歴史から教えていただけますか。

舘林さん:曾祖父がシガレットケースや時計ベルトといった銀製品の卸事業を1930年にスタートさせたのが始まりです。当時は革製品を扱っていませんでした。

転機となったのは1960年代にセイコー社が発売した腕時計のベルトのオーダーをいただいたことでした。それまで腕時計のベルトは別売で販売されていたのを、セイコー社が初めてセットで販売。ベルトが必需品に変わったきっかけとなったんです。

─ちょうど高度成長期に差し掛かっていた頃のことですね。

舘林さん:それまでは家業としてやっていたビジネスを会社として本格的に始動し、徐々に会社が成長し始めたのもこの頃です。時計バンドを自社で作れるよう、製造工場を建て、香港にも拠点を設立しました。また、1970年頃からは腕時計のバンドを取り替えて楽しむ人が増えてきたことから時計メーカー向けにOEMで部品供給することに限定せず、交換用の時計バンドを販売するようになったんです。

─革製品の取り扱いが始まるのはまだ先の話ですか。

舘林さん:実は革製品を取り扱い始めたのは2006年のことです。それまではずっと時計バンドを中心とした時計・ジュエリー業界に特化していました。

─時計バンドメーカーとして長くやってきた中、何がきっかけで革製品を取り扱うようになったのでしょうか。

舘林さん:革製品を取り扱うきっかけとなったのは最高級の日本製の時計ベルトを作るという企画でした。高級時計に使用されている時計バンドはヨーロッパ製のものが多かったことから日本製を作ろうとしたのです。ヨーロッパでよく使用されている素材であるクロコダイルは日本に生息しないため、代替となる高級な素材を探していた時にアイディアとして上がったのが高級和牛の皮でした。

舘林さん:問い合わせてみたところ、高級和牛の皮はできるだけうすく切って捨てられていることが分かったため、ベルトに使えるだけの厚みを残して皮を譲っているだけることになりました。日本製の皮はこれまで注目されていませんでしたが、実際に作ってみると松阪牛の皮は触れば触るほど艶がでる特徴を持っており、素材としてとても魅力的であることが分かりました。これがきっかけで時計ベルトに限らず、素材も日本製の革製品を横展開することになり、生まれたのが松阪レザーを使用した革小物になります。

─直近ではmakuakeで新しい革製品を販売されていますね。

舘林さん:革小物メーカーとしては弊社は後発です。2017年に革小物の開発・製造を自社で全てできるよう新たに3人の社員を迎えました。そして2019年に満を期してオリジナルの革小物の販売をスタート。新しい取り組みとしてmakuakeも活用してきましたが、ヒット商品はなかなか生まれませんでした。

それでもその3人が諦めず新たに開発した薄さと収納力を兼ね備えた革財布aioaがmakuakeで大ヒット。150個が即完売し、追加で販売した50個も完売しました。

これまでどうしても素材や日本製を重要視してきましたが、素材だけではなく、デザインやコンセプトを追求したことがヒットの決め手となったようです。

ー時計バンドメーカーが革小物へ進出することは大きな決断だったと思います。四代目として会社経営において大事にされていたことはありますか。

経営理念にある「人々の心と生活をより豊かにする商品やサービスを創り出し、文化の向上に寄与する」は大事にしてきました。もう1つ大事にしているのは現場の社員の声を聞くこと。現場の方が私以上にこだわりを持っているので、彼らの声を基本的には尊重して製品開発を進めています。今回のaioaも現場社員が率先して意見を出し合い、開発してくれたからこそ出来上がった製品です。

─最後に今後の展望もお聞かせください。

2030年で創立100周年を迎えますが、これから新しいことにどんどんチャレンジしていきたいと思っています。これまで「堅実に」を大事にしてきましたが、社員の夢や目標が実現できるような環境を提供し、社員と一緒になって会社を成長させていきたいです。また、これまでは日本を市場としてきましたが今後は海外にも認められるブランドに成長させたいと考えています。既存の事業を強化しつつ、新規事業そして海外展開に力をいれ、身に付ける喜びをもっと多くの人に提供していくことが目標です。

こちらの質問に、ゆっくりと言葉を選んでお答えいただいた舘林さんは、普段から社員の声をよく聞くようにしているのだといいます。それは先代からの教えなんだとか。社員1人1人の声を聞いて環境を整えているからこそ、バンビの手掛ける商品が好きな人、ものづくりが好きな人が自然と集まってくるのかもしれません。お客様を大切にしながら、常に新たなチャレンジを続けるこの会社が、これからどんな進化をするのかとても楽しみです。

 

Profile株式会社バンビバンビ

1930年創業の老舗時計ベルトメーカー。業界トップシェアのバンビが提案する革小物は優れた技術力と機能性を兼ね備えた商品です。長きに渡り革製品を扱ってきた経験と実績をもとに、2006年から革小物の製造販売を開始し松阪牛を使用した「SATOLI(株式会社バンビ)」をはじめ、すべてのブランドが国内の職人の手により作りあげた「メイドインジャパン」の製品で、経験と技術、革へのこだわりを活かしたモノづくりをこころがけています。